乙女ゲームマラソン Z

vitaのオトメゲーをセイハするブログ

21★名誉ではないけれど、ひとつの勲章ではある【ニル・アドミラリの天秤】

 ニル・アドミラリの天秤 帝都幻惑綺譚 - PS Vita 

名誉も勲章もいらないといえる人になりたいけどさ。

ニル・アドミラリの天秤 帝都幻惑綺譚/ニルアド

ジャンル  小説タイプ    大正×特殊能力×本
時間 共通 2.5時間 個別 3時間 総プレイ 22時間ほど 

二週目以降は共通20分

スチル集めるのに+1時間ほど

真相あり

攻略人数  6人  制限 有 (4人攻略後、順番にふたり解放)
ヒロイン

久世 ツグミ (名前 変更可)

事件をきっかけに、能力に目覚めたお嬢様

特記事項 CERO D作品  公式HPオトメイト

 

CEROと恋愛のABC

この世の中は、綺麗なものだけで構成されているのではありません。

30年生きていれば、それなりに色々と目にします。だからこそ物語の中にはきれいなものを求めてしまうのかもしれません。

きれいなものとは美的なことだけではないです。ほしいのは整合性です。物語には道理が必要であり、混沌としているのは現実だけで充分なのです。

 

さて、ゲームプレイ中に私は激しく動揺することとなりました。

大正時代の華族のお嬢様であるはずのツグミちゃんの貞操観念が、恋をした途端にはじけ飛ぶからです。いえ、はじけ飛ぶのは良いのです。恋愛というのは飛んでなんぼ。ただ、はじけ飛ばすからには、理由や事情、あるいはめくるめく情動、つまり大義名分もとい乙女の言い訳ってやつが必要なはずではないか。

 

なんだか男らしいくらいにコトがスムーズに運ぶのです。 ABCと順に進んでほしかったけれど、フルスロットルでCERO Dに入ったなぁという印象が強いので、このことに関して好意的に受け取れる層と、受け取れない層で評価が著しく変わってくる作品だと思います。それくらいに重要な要素なのだと気づけたキッカケになりました。

私なんぞは、いいんか、おい、ツグミ、いいんかこんなところで、とアワアワしました。直前まで致す気配を感じなかったのでビックリしたし、それ以前の淡い記憶が吹っ飛んだ、なくても良かったというのが本音です。

しかし実際の大正の人々すべてが清く正しく生きたわけでもあるまいし、ましてや恋愛中の身、ただでさえシリアスな物語というのはイチャつけないことが多いので、そこを優先しようとするのは乙女ゲームとして間違った姿ではないとも思っています。

 

 

  • 大正時代が好きだよ
  • さとい先生の絵が好きだよ
  • イチャイチャしてほしいし上記のようなできごとはむしろバッチコイ

 という方には良いのでないかしらと思います。

 

 以下、物語の内容には触れていませんが、仕掛けや仕組みなどネタバレを含んだ感想を書いていますのでご注意ください。

 


ちなみにこんな感じでプレイしています。

zonna.hatenablog.com

 

★ストーリーについて

舞台は大正時代を25年まで引き延ばした架空の日本。大正の空気感に幻想的な要素がミックスされて、上品さと不気味さが漂っています。

肝となる魔術要素を和風ファンタジーとして扱うのではなく、心理学の延長と捉え、国家の一機関として現実的に対処していくところが新鮮で、スタートから引き込まれていきました。

物語はまだ序章

ただ、この組織自体が発展途上であることや、怪奇現象の解明がされていない段階の物語なので、憶測の域に留まることが多く、全体的にふわ~っとしている感が否めません。 キャラもヒロインもユーザーもかなり手探りの状態だったように思います。

そのため真実を追うのではなくキャラクターひとりひとりにスポットを当ててゆくシナリオなのですが、どのルートも終盤の見せ場に弱く、裾を絞ったかのごとく同じような展開、結末を辿ることがもったいなかったです。

そう思えるのはひとえにキャラクターの良さが原因だと感じています。このキャラたちだからこそ生まれた個別ストーリーだというのに、お前もか、お前もなのかとつい歯噛みしちゃいます。どうか続編で挽回しておくれ~と祈る。

 

 

★恋愛要素について

ツグミちゃんが貞操観念をぶっ飛ばしていた頃、私のそれまでの記憶もぶっ飛んでいたわけですが、そもそもそこに至るまでの恋愛過程が良かったことを思い出しました。

ひとりも知り合いのいないところに飛び込んでいるので、努力して仲を深めていていこうとするツグミちゃんがなんとも健気なのです。攻略キャラの個性も属性のテンプレからほんの少しずつはみ出しているような人たちばかりで、それがどんどん噛み合うようになってくるのが恋物語の良いところ……!

などと思うのですが、その前半のゆっくり具合と純愛っぷりが尚更、冒頭に記したような衝撃を生み出すことになったのだと認識しています。よく言えば二度美味しいということなのかな。

ところでお仕事モードの彼ってどうだい

個人的にツボでした。

人によって態度を変えないキャラも好きですが、お客さんには感じよく、目上の人には礼儀正しくするからこそ、ヒロインには気安くする(逆に緊張する)、というフックがモロに効いてくるのだと思います。

 

 

★特筆したいこと

今回のタイトル「名誉ではないけれど、ひとつの勲章ではある」というのは、とある攻略キャラの言葉です。

この言葉はそれだけでも随分と惹かれるものがありました。

冒頭、この世はきれいなものだけで構成されているわけではないと書いたのは、そのままの意味のほか、歴史には不名誉な功績というものがたくさんあって、誰かの犯した過ちが、多くの人を救うことがあるという意味でもあります。

誰かの失態のおかげで、後の人は同じミスを繰り返さずに済むものです。であれば、正しいことだけが正しいわけではないと思えます。

「良くないことだけど、すごいことにはちがいないよ」

タイトルの台詞を平たくするとこんな感じでしょうか。彼がこれを言ったのは共通ルートの何気ないシーンだったと記憶しています。その時はなんかカッチョいいこと言っとるわくらいにしか思っていなかったのですが、フルコンプ後に振り返った時、真っ先に浮かんだのがこの言葉でした。

考察させてくれる物語のありがたみ

この台詞を言った時にはなんとも思っていなかったものが、彼のルートを終えた時、「一体どういう気持ちで言ったのだろう」と新たに思えるわけです。そしてこの言葉が、他のキャラにとって大変な救いになったのではないかなとも想像できるのです。

完全に深読みですし、作り手の意図を越えた解釈であることは重々承知で、ときどきそんな風に考えることがあります。もしかするとその時間が一番楽しいかもしれません。

 

 

★おわりに

ニルアドのモチーフは『本』と『作者』です。本にまつわる物語ならば、もう少し『物語』についての言及があって良いように思いますが、スポットが当たっているのはあくまで『作者』であって『人』であり、つまるところ『思い』です。

物語を読む意味は人それぞれで、楽しみ方も人それぞれで、作者なんて知りたくないわい、お話だけに集中したいんだわい、という気持ちもあります。

しかし作り手が作り手の物語をつくる時、そこにはやはりいち作り手の思いが込められているとみるのが自然かなぁと考えています。そのことを最も意識した言葉で終わります。

 

つまらない物語なんてないはずです、とヒロインは言いました。

どうかそれが真実であってほしいと思います。そしてどんな物語でも楽しめる自分でありたいとも。

 

 

 

はい。

 

私も何かいい感じのことを言いたかっ

 

 

 

見えていない尾崎さんの左手がツグミちゃんの足を触っている、というどうでも良い情報をここに付記する。

 

FDではなく、続編という扱いかと思います。やらなくっちゃ!