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20★ヒロインとは誰がために【クランク・イン】

 クランク・イン - PSVita

両手にイケメンを携えるのは、ヒロイン(と金持ち)にしかできない。

クランク・イン

ジャンル

小説タイプ

 学園×映画×現代

時間 共通 約1.5時間 個別 約45分 総プレイ 16時間ほど

 前半でふたつのルートに分かれるため、

 それぞれの共通ルートが1.5時間、二周目以降は40分ほど。

 EDが二種類あるので、もう片方に約30分。

 スチル回収に+30分。

 一周がすごく短いですが、回収のための周回が多いです。

攻略人数  7人 制限  あり(特定の人物攻略後、一人解放)
ヒロイン

 橘 文月(デフォルトネーム 変更可)

 中学の時に見初められて、映画のヒロインに。

 その後、大学生になり劇団に入る。

特記  中学生編から始まるよ。

公式HP(プチレーヴ)

 

物語の中で成長する(心ではなく、体が)

純粋な現代もの、更に映画をテーマにした恋愛というだけでも目新しいのですが、クランク・インの最大の特徴は、物語の始まりが中学生ということでした。

一周目が135分、二週目はスキップを使って約90分と映画一本分並の時間の中、ここまで真っ当に成長するという二部構成の作品をプレイするのは初めてです。

青春を共にした彼の成長した姿を見られるなんて、それだけでお得じゃありませんか。

 

同窓会のようなものって、人の心をくすぐるのだと思います。

高校進学後に中学の友人と会うと気恥ずかしいやら楽しいやら、たかだか数ヶ月の再会でも色々な変化があって、それだけでワイワイできたことを思い出しました。

これが成人式あたりでの再会だと、飲み会も開けちゃうので更にワイワイしますよね。

そして三十路くらいで再会すると、なんだか色んなことに開きがあって、もうワイワイなんか決してできなかったりしますし、

「今何やってるの?」

乙女ゲーム

という会話なんかしたらその後どうなっちゃうかわかるくらいには大人になったので、そもそも再会しないように引きこもる、結果乙女ゲームが捗る、といった決してヒロインにはなれないZ女スパイラルに嵌っていることに気がついたところであけましておめでとうございます2018年。

 

 

  • 時の流れを感じたいよ
  • 色んなお話が読みたいよ
  • さっくり遊びたいよ

 という方には良いのでないかしらと思います。

 

以下、物語の内容には触れていませんが、仕掛けや仕組みなどネタバレを含んだ感想を書いていますのでご注意ください。

 


ちなみにこんな感じでプレイしています。

zonna.hatenablog.com

 

★ストーリーについて

一周目で3時間を切った作品は初で、終わった時は唖然とし、アプリゲームの移植かと疑うほどの呆気なさを感じました。

しかし攻略キャラが多く、EDも多く、ルートをクリアする度にテキストが少しずつ増えたりもするので、『短い割に色々あるなあ』と、全体的にボリューミーだった錯覚を得ています。

切り口の異なるシナリオ展開

メインストーリーがないため、共通終了後はまったく違った七本のシナリオを読むことができます。本流から支流を作り出すタイプの物語は、まとまりや深みを欠く代わりに、思い切ったことができるのが強みだと思います。

非常に突飛なことをやったルート、このテーマならではの印象に残ったルートがありますが、淡々と進むために、物語に入り込むというよりは短編小説を読んで感心するような、百物語のひとつを聞いてヒャッとなるような気分に近かったです。

当然それはプレイ時間の短さに起因しているのでしょうが、映画の物語で映画と同じ尺というのはオシャレだと思うのでオッケーでした(すべてを丸め込む言葉)

 

 

★恋愛要素について

90~135分のうち、半分は中学生。恋愛面はうすしおです。

ただ私にとってのクランク・インは、恋物語というよりは、彼らのヒロインになれる物語であったように思います。

徹底的に寄り添う、聖母系ヒロインになる物語

文月ちゃんは、作中で何度も何度も「俺(僕)たちのヒロイン」と呼ばれます。

しかし文月ちゃんは彼らを「私のヒーロー(たち)」とは言いません。言っていたらすみません。たぶん言ってません。いや、言って……? 言っていたらこれから展開するお話がぐらつくけれど、素知らぬ顔で続けますと、

このことからもわかるように(ぐらぐら)、

クランク・インの主人公はそれぞれの攻略キャラたちであって、その七通りの物語に、文月ちゃんは常に寄り添い続けるヒロインでした。

 

ヒーローを立てつつ、励ましつつ、内省することがあっても、自分を卑下しないところに純粋な育ちの良さが。意見する時はありきたりな言葉だけで終わらず、押しつけがましさのない、けれど慈しみのあるやり取りに、世渡り上手とすら思います。そりゃあ『攻略キャラにとって理想のヒロイン』なのは間違いない。

良い子ちゃんと似たような方向性ではあるものの、その一歩か二歩先くらいまで成熟している印象でした。

自分で未来を切り開いていく英雄的なヒロインも素敵ですが、内助の功に徹するヒロインというのは攻略キャラにとって救いとなるので、そうした物語が好きな人には良いんじゃないかなと思います。

 

 

★特筆したいこと

まず先に、スルーできないくらいシステム面がドイヒーです。全部に悪口言えちゃうんじゃないかしらってくらい、操作に多大なる苦痛が伴いました。

こうした不便に触れると、普段やっているゲームがどれだけ気を利かせてくれているのかということに気がつきます。

しかし乙女ゲームというのは映画と同じく総合芸術、不満は他の点でカバーすれば良いのでした。

スチルで全てを許すちる

恋愛物語におけるキスというのは、ひとつのクライマックスでございますね。そのスチルというのが、乙女ゲームにおけるクライマックスと言っても過言ではございませんね。

ところがキスのスチルに力を入れていない(特別視されていない)作品が、意外と多いなあと思います。スチルがない作品も多いです。

絵心のない私からしても、キスの絵というのは難易度の高いものに見えます。それ故に、上手い下手がハッキリ現れてしまう。好きなキャラが変なキスをしていたら悲しくなるのが乙女ってもの。これならなくて良かった……と恋が冷めるくらいなら、思い切ってカットするのも英断だと思います。

 

クランク・インのスチルは全体的に光の表現がとてもきれいです。映画館のスチルではスクリーンの光が人物に反射して、ちょっとしたリアリティに見入ってしまいました。

話の短さに比べて枚数があることや、切り替わるタイミングの良さから、効果的に感じることが多かったです。特にキスのスチルは、自然体で、きれいで、幸せそうで、なんか良い!と久しぶりにほわほわさせてもらいました。

 

だから操作性の悪さのことはもう忘れます。

△ボタンをクイックセーブにするのはやめちくりと言い続けたあの日のことも、テストプレイした人はセーブをしたことがないのだろうと思い続けたあの日のことも。

 

 

★おわりに

キャラのEDを両方見ると、おまけとしてキャストコメントが聞けるようになります。

滅多に聞かないのですが、たまたま最初にクリアした方の乱高下の激しいトーク(ご本人談)が面白くて、聞いて良かったなぁ、つくづく総合芸術だなぁと思いました。

 

乙女ゲームって、正直なお話、ツッコミどころが満載なんです。

どの作品にも、「!?」という瞬間が必ずあります。

しかし恋愛なんて2000年前から全人類総出でやり尽くしているテーマなのですから、常に実験的な試みをして、時に愚かに見えるようなことも大真面目にやりきって、その時代の乙女たちに何が受け入れられるのかということを探っていく姿勢がすごく大切だと思うんです。

だから私も両の眼に力をいれて、一見しただけではわからないキャラたちの良さをあますことなく拾い尽くすんだぜ、という気持ちで真剣にプレイしています。

 

そんな時に、「こいつ(自身が演じたキャラ)ヤベーよ!」とか声優さんがぺろっと言っちゃうじゃないですか。普段ならひとりで心にそっとしまっておく感想を、他者の口から聞いてしまうと、ハーモニクス!!ってなるじゃないですか。

共感した時、人は笑うんです。

私は笑顔になったんです。

ゲームに関係ないところで笑ってしまったけれど、このゲームがなければ起こらなかった笑いなので、なんだかすごくありがたい気持ちになりました。

そう、これが総合芸術ってやつでクランクアップ

 

 

 

クランク・イン - PSVita

クランク・イン - PSVita

 

やべえキャラは独創性があるので基本的に好きです。ちなみにやばくないキャラばかりなのでご心配なく。