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19★悲しみよりも、嬉しいときに泣いてしまう【吉原彼岸花 久遠の契り】

 吉原彼岸花 久遠の契り - PSVita

女が喜んで嬉しいのは、だあれだ。

吉原彼岸花 久遠の契り

ジャンル 小説タイプ(三人称) 江戸×遊郭×悲恋
時間 共通 約1.5時間 個別 2.5時間 総プレイ 17+2時間ほど

二周目以降は共通10分程度。

バッドエンドなどの回収に+2時間ほど。

攻略人数  6人 制限  あり(1人制限、真相あり)
ヒロイン

 凛(デフォルトネーム 変更可、音声なし)

 源氏名の『千早』は固定、音声あり

特記  R18の移植作品です。  HP(MariaCrown/プロトタイプ)

 

吉原ってナニ?

時に柔和な表現で婉曲に、時に身も蓋もない言い方で、ガッチリしっかり丁寧に説明して頂けるものですから、この辺りの事情に疎くともスムーズに入っていけるつくりが大変ありがたかったです。ぼんやりとした知識しかなかった私は、こちらの作品で補完できる部分がたくさんありました。

豪華絢爛、ファンタジーのような遊郭の物語ではなく、それを演出する裏側にスポットを当てているので、吉原という町での生活臭を至るところで感じることができます。この時代の中で息づいている人々に出会えるだけでも、すごく価値のあることだなぁと思うのです。

 

ところでR18作品の移植というのは他の乙女ゲームと比較した際、妙に濃ゆくなるシーンがあります。このブログではそのようなシーンに対し便宜的に『致す』と表現しますが、R18は100%致す、というか致しから始まる恋愛がある、なんなら特殊な状況の致しのために作られたようなルートもあるため、それらに触れないわけにはいきませんが、それでもあまり触れません、ということを注記しておきたいです。

なるべく下品にならないように心がけますが、上品だったことが生まれてこの方一度もなかった生き物なので、そもそも自覚のないお下劣発言をしてしまうという可能性が高すぎます。どうか引かないでほしい(祈りにも似た願い)

 

  • 遊郭や花魁、江戸時代に興味があるよ
  • 悲恋が好きだよ
  • シリアスが好きだよ

 という方には良いのでないかしらと思います。

 

 以下、物語の内容には触れていませんが、仕掛けや仕組みなどネタバレを含んだ感想を書いていますのでご注意ください。

 


ちなみにこんな感じでプレイしています。

zonna.hatenablog.com

 

★ストーリーについて

理想の福箱ストーリーライン

共通1.5時間、個別約2.5時間とコンパクトな尺に見せかけて、中身がぎゅうぎゅうに詰まっている驚きの福箱でした。

前半は軽妙なテンポで、中盤は気持ちのやり取りを重視し、畳み掛けながら収束していく後半の流れがお見事です。

プレイ時間における山場の数と密度から割り出せるであろうイベント力がすごく高い。めっちゃ端的にいうと、(攻略対象によりますが)2.5時間の中でこれだけ盛り込めるんだと。あとはユーザーの経験値や好みの問題でしかない、という印象です。

あまりにも理想形なので物語の型が見えそうですが、アイディアのひとつひとつが丁寧なので、そちらに気を取られているうちにすっかり物語に入り込んでいました。完璧と唸ったルートもあります。

 

ただ、メインストーリーに関わる部分での重複が多いのが難でした。

けれども攻略キャラの個別ルートとしてではなく、メインストーリーという大きなルートとして全体を見れば、筋の通った展開と結末であった……と、納得できます。

バッドエンドも選択肢をミスしたが故のゲームオーバー的なものではなく、ひとつの物語として帰結するような、ストーリーの流れを汲んだものばかり。或いは特殊なお致しのための布石という、R指定ならではの展開の仕方だなぁと思います。

 

 

★恋愛要素について

吉原が舞台の作品ですし、ヒロインはその道のプロである花魁ですし、それを期待される方も多くいらっしゃるでしょうし(いるよな?)、もちろん私も「いつ致すのだろう」と注目してはいるのですが、だからこそ、純愛ということに水周りのトラブルが眼球で異常発生して大変でした。

人や物を愛おしむこと

結ばれないことや失うことはすごくつらくて悲しいことなのですが、だからこそ逆説的に上昇の涙が生まれます。悲劇に身をおいていると、嬉しいことや素敵なことがいっそう尊くなるからです。

吉原にありながらそんな馬鹿なという純愛が、あまりにも綺麗でとにかく眩しい。ただ好きなのではなく、もうひとつふたつ意味の籠もった、愛おしいという感情がここにはあるような気がする。愛おしむとは、その気持ちを育ててゆくことだと思うのです。

それが見られただけでもスーパーありがたやなのに、この作品にはその先にあんなことやこんなことがあるんですって。乙女が滅亡するんじゃないかな。

 

 

★特筆したいこと 

吉原彼岸花は三人称の乙女ゲームで、地の文も多く、非常に小説的です。

その代わり、選択肢を多くすることでゲーム性を高めています。また、目も口も動きませんが立ち絵が細かく変わるので、効果的に瞬きを演出するなど、とても表情豊かに見えます。

しっかりとした時代考証のおかげで、吉原を歩いているような気になれる。内部を詳細に描いてくれることで廓での生活を体験することができる。この時代ならではの手段や道具がシナリオを引き立てていて、江戸ツッコミのようなものを目にした時は嬉しくてニコニコしてしまうという、時代物の良さを浴びることができます。

細々した良さが全体を良くする。

これは間違いありません。

 

しかし私が何よりも特筆したいのは、

イメージイラストがすごく素敵で楽しすぎる

ということです。

PC版のHPでも配布されているので、少しだけ貼らせてもらっちゃいます。

 

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永久に見ていられるんじゃないかなってくらい心が踊りに踊りまくって大変。

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プレイ前に見ても、後に見てもビビッとくるイラストってすごすぎます。

一枚の絵が全体を良くする。

これも間違いございません。

 

 

★おわりに

R18作品共通の宿命ですが、精神的に結びついた後、感無量状態の時に肉欲のターンになることが当然多くて、これがなかなかに難しいものだなと考えてしまいます。

感動のまま終われないというか、目が醒めるというか、特に吉原彼岸花は『事後感』が強いかもしれません。始まった、暗転、終わった、の線引が明確で、「(カットされている部分は)こんな感じでした」という地の文による事後の報告が毎度情緒ねえなと思います。

おそらく暗転してしまうが故の配慮、vita版のためのテキストだと思うのでやむなく目を滑らせていましたが、もしかしてPC版へのCMを兼ねているのかも。これは是非とも違いを確かめないといけませんね。

オッケー、抜け目のない完璧な言い訳ができました。

 

 

あ~大人で良かっ

 

 

 

吉原彼岸花 久遠の契り - PSVita

吉原彼岸花 久遠の契り - PSVita

 

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