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14★死んでも生きたい【Re:BIRTHDAY SONG~恋を唄う死神~another record】

【通常版】Re:BIRTHDAY SONG~恋を唄う死神~another record - PS Vita

硝子細工を見ているようだった。

Re:BIRTHDAY SONG~恋を唄う死神~another record/リバソン

ジャンル

小説タイプ

 死神×学園×死後の世界

時間 共通 約2時間 個別 約2~2.5時間 総プレイ 14+1.5時間ほど

二周目以降はスキップを使って共通10分ほど。

EDが二種類あるので、その回収に+1.5時間でした。

攻略人数  5人 制限  有り
ヒロイン

ココロ(デフォルトネーム 変更可)

元気に落ちこぼれている記憶喪失の17歳。

特記 シリアス寄りです。

公式HP(honeybee)

 

乙女の死生観

死について話すのはすごく難しいです。重くても軽くてもよくない。

なのでただ一点のみ。

自分の死に目にイケメンの死神が魂を刈り取りにきてくれるというのは、一足先にほぼ天国だと思うんです。

 

  • 死神が好きだよ
  • 明るいヒロインが好きだよ
  • 死がつきまとうテーマでも大丈夫だよ

 という方には良いのでないかしらと思います。

 

 以下、物語の内容には触れていませんが、仕掛けや仕組みなどネタバレを含んだ感想を書いていますのでご注意ください。

 


ちなみにこんな感じでプレイしています。

zonna.hatenablog.com

トーリーについて

死をテーマに扱うと重くなって当然ですし、シリアス要素がぐっと強くなるものですが、ヒロインであるココロちゃんが底抜けに明るい性格なのと学園モノという側面もあって、行きつ戻りつしながらどこにも偏らずに見事にオリジナルの世界を描ききっていると思います。

普通に見える、その裏側

ココロちゃんには死神になるという目的があります。そのために学校に通って勉強し、仲間たちと友情を深めていく。やっていることは生きている時と大して変わりません。しかし大きな違いは「一度死んでしまった経験」が人々に与える影響です。存在した瞬間から、どうしようもないわだかまりを腹の底に抱えながらもう一度生きねばならない。安易に人生をやり直す、第二の人生を歩むということではないのです。

彼女が絶好調にノーテンキなのでついつい忘れそうになりますが、記憶喪失の彼女以外のみんなはそういうことを抱えて生きています。このベースをユーザーが忘れると普通の学園モノに、覚えていると彼らの行動に何かしら感じるものがあると思います。もちろん忘れさせるのもライターさんの力なのですが、大味でない設計をされたキャラというのは、ユーザー側の共感力や読み取りが重要になってくると思います。

というのも、この作品は世界観やキャラが良く、約15時間と尺短めにも関わらず、体感ではもう少し長く感じてしまうという面がありました。原因はスムーズでない場面切替や長めのSEなどシステム的なテンポの悪さとスチルの少なさ(メリハリを感じにくくなる)が挙げられると思います。また、シナリオ面では金太郎飴といかないまでにしろストーリーラインが同じ、つまりキャラごとのパターン違いとなるので新鮮味が薄いです。このパターン違いについては乙女ゲーム全般に言えることで、ある程度は仕方のない現象なのですが後半のキャラが不利になるのですごく不憫な気持ちになります。

この「ちょっとダルいな」という状態の時って、脳がぜんぜん働いていません。特に今作のように世界を丸ごと創造した物語の場合、ユーザーに世界観の理解が求められます。作り込み過ぎるとついていけないですし、説明がなさ過ぎると世界がペラくなる。前提からテキストを頭に入れる作業が必須になっているので、工夫がないと簡単にキャパオーバーします。ここで大味のキャラがいればやる気のないユーザーも強引に引き連れていくことが可能ですが、今作はどちらかというとヒロインが大味気味なので攻略キャラたちはおとなしめです。なので、ユーザーの能動性が必要になってくると感じました。シナリオがとても丁寧に練られている、キャラが大切につくられていることが伝わるので、こちら側も受け取る準備をバッチコイしていないとワアワア取り零すものがあると思います。それはどんな作品にも言えることですが、内面に秘めたものを抱えている物語の場合は特に。

 

恋愛要素について

恋愛ものというのは恋の進捗管理がとても重要で、一振りの采配で物語の印象がガラっと変わってしまいます。いつもその匙加減が楽しみなんですが、リバソンは本当に調味が細かい。

こだわり農家の自家製レストラン

市販のケチャップとかソースとか使わないんです。絶妙な塩加減でずっと勝負してるというか、それ誰か気がつくかな?くらいの調整を行い続けた結果、ケチャップに思えていたキャラも、うわあこれトマトから作った自家製だったんだあ、とわかる。わかる、とは言っているけれど、この例えが他の人に通じない可能性もわかる。

つまりどういうことかというと、すごく普通のシーン、どうでも良さげなシーンに萌えが隠れ潜んでいるということです。で、それが万人に共通する萌えではなさそう。なぜそう思ったのかは、乙女ゲームマラソンのおかげだなあと思っています。他のゲームでは見られないような独特のやり取りが地味に多くて、私のセンサーに引っかかることが度々あったのです。でもその度に、本当に些細なところだな、と驚くのですが。

 

ちなみにもう少し掘り下げたい恋愛要素があるのですが、ネタバレに触れないわけにいかないので、全体の味付け部分の言及で諦めました。力量の無さにマジガッデム。

 

特筆したいこと

クリア後にアフターストーリーが開かれるのですが、オマケ要素と呼ぶにはもったいないほどのボリュームかつ優れた内容のシナリオで心が躍りました。スチルがない場合はオマケ要素を見ないこともあるのですが、見て良かったというか、むしろここから本編を始めても良いんじゃないか、今作の本編はある意味プロローグだったのではないかとさえ思いました。もちろん現実的にそれをやってほしかったというわけではなく、それくらい作品の未来がくっきりと見えるようなアフターストーリーだったということです。

前述したように本編はベースが一緒なので、辿る未来もある程度想像がつくのですが、アフターストーリーは完全に分岐しているのとテーマがハッキリしているため、キャラそれぞれのオリジナリティが前面に出ています。なんだかとても繊細なことをやろうとしている、そんな印象を強く受けました。

魂がある限りそれは生きている

結局のところ、乙女ゲームというのは「攻略キャラを見る」ということとイコールだと思っています。世界観もストーリーも言ってしまえばただの箱や飾りで、一番のウリで重要な中身は彼らそのものです。彼らひとりひとりに魂が入っていないと意味がない。そんなキャラと出会えるとすごく嬉しい気持ちになります。マジありがたや。

また、これには声優さんの力も大きかったと思います。全キャラがぴたっとハマっていて、はみ出すことなくシンクロしているように感じました。キャラを生み出した人がいて、生かしている人がいて、その魂を認める他者がいる限り生き続ける。生きてもない、死んでもいないのに不思議だなあ~と平気で締まりのないことを言って終わろうとしています。

 

おわりに

どれだけ賢く、いかに優れている人であろうと、唯一解けない問いがあります。「人は死んだらどうなるのか」。この問題に対して人類は常にフェアだと思います。金も地位も善悪も、死んだ人間は持っていられない。或いは持っていられるとして、それが生者に伝わることはない。生きている間に死んだ後のことを知ることは許されない。生まれる前のことを知らないのと同じです。天国も地獄もすべては想像であり生きている人間の願望です。事実は誰にもわからない。だからこそ、死後の世界というのは多くの人を惹きつけてやまないテーマとなるのだと思います。

さて、とうとう死んだ後まで進出した乙女ゲーム。あの世の次はどこに行くのか。悟り開いて浄土ラブ、もう少しダーティに煉獄ラブまでいけるでしょうか。さすがに地獄の業火に焼かれながら恋愛したヒロインはいないと思いますが、乙女レーダーは四方八方に抜け目がありませんから、やがて芽吹くに違いありません。

それにしてもユーザーって言いたい放題できてすごい

 

 

【通常版】Re:BIRTHDAY SONG~恋を唄う死神~another record - PS Vita

【通常版】Re:BIRTHDAY SONG~恋を唄う死神~another record - PS Vita

 

 メインのパッケージでこうした目線は珍しい。