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12★幸せでいられる場所で生きるんだ【明治東亰恋伽 Full Moon】

明治東亰恋伽 Full Moon - PS Vita

パッケージ画像がなくて残念

明治東亰恋伽 Full Moon/めいこい

ジャンル

小説タイプ

タイムスリップ明治×文化人×伝奇物語

時間 共通 約30分 個別 約2~2.5時間 総プレイ 約17時間+2時間

序盤すぐにルートが決まるので共通はないようなもの。

複数ENDとクリア後のシナリオのスチル回収で、+2時間程度かと思います。

攻略人数  8人 制限  7人クリア後、ひとり(真相ルート)解放
ヒロイン

綾月 芽衣(デフォルトネーム 変更可)

ある日突然、明治時代にすっ飛ばされた。

デフォ名でも音声なし
特記 PSPからの移植(追加要素あり)です。 公式HP(MAGES.)

 

既に近すぎるくらいの近代の文化人にこれでもかと近づきまくる

昭和生まれからすると明治時代というのは大正すっ飛ばしてお隣の時代に感じるほど身近感がすごいので、そこでご活躍された人たちと恋愛をするというのは若干居心地の悪さを感じました。 しかし歴史に名を残すような人々というのは本当に特殊で、成したことはもちろん人格や生き様そのものなど、後世に生きる我々に多大な知識と影響を与えてくれるのです。その人たちと恋愛関係になるということは、あれもこれもゼロ距離で見られるという、考えられない程の恩恵を受けるということでもあるのです。そんな体験は確かに乙女ゲームでしかできません。心がダンスしまくります。でもこの時代の踊りはワルツ、難易度と格式が高すぎる。おカタい時代の古き良き日本を堪能するのです。

全体的におとぎ話を聞かされているような感覚、どこか夢のような雰囲気が常にありました。不思議で、どこか切ない。電気がそれほど普及していない明治の世界が、微妙に薄暗いせいかもしれません。それがクセになる作品でした。

 

  • 取り合われるのがすきだよ
  • 明治が好きだよ、興味があるよ
  • 有名人のことをさらりと知りたいよ

 という方には良いのでないかしらと思います。

 

 以下、物語の内容には触れていませんが、仕掛けや仕組みなどネタバレを含んだ感想を書いていますのでご注意ください。

 


ちなみにこんな感じでプレイしています。

zonna.hatenablog.com

 ストーリーについて

スムーズな導入、丁寧な世界観の説明、おとぼけ要素のあるヒロインと個性的な攻略キャラ達のおかげで、ものっそい早さで明治の世界に馴染むことができます。街を歩きながら明治のことを知っていけるので、「へえ~」「あ、こんなものが」「なるほど…」となんでもかんでも勉強になる。明治時代というのは和と洋が急激に入り乱れる不思議な魅力のある時代なので、ただ歩いているだけでも楽しいというのはタイムスリップものの良さのひとつですし、それをうまいこと表現してくれていると思います。

文化人に大岡裁きを下したい

基本的にヒロイン含む三人一組で過ごすことになるため、自然と攻略キャラ2人からご好意を頂くようになり、三角関係とまでは言わないにしろ右から左から責められるというか板挟みというか取り合われるというか、大なり小なり嫉妬が絡んでくる構成です。と言っても二人の関係が壊れるほどの深刻なものではないので股かけが苦手な私でも大丈夫でしたし、好きな人はすごく好きなシチュエーションだと思います。

ただ、それを毎回やってるな、という感覚がつきまといました。金太郎飴ではないのですが、誰のルートに入っても結局同じパターンの繰り返しなのです。可愛いけどTシャツ6枚もいらん、的な。いる人はいるんでしょうけども。じゃあ、ケーキは6ピースもいらんと。ただやはりいる人はいるんでしょうけども。

本編でそうした関係性をつくりあげているので、クリア後のオマケシナリオがはっちゃけていて楽しかったです。ふざけるシーンが得意な作品は強いなあと改めて思いました。きっと本編以降はもっと楽しくなっているのだろうなと予感させてくれます。

 

恋愛要素について

攻略キャラ達がとにかく優しくて愛情深い。ひとことで言うといい人。心の薄汚れた人間、そう例えば私のようなモンからすると「後で手酷く裏切る気なんじゃ」「突然キャラ変更しだすんじゃ」と不安になるほどいい人達。もちろん人それぞれ優しさの形は違うし、愛情表現もひとつではありませんが、その人のルートでなくても垣間見えるというか漂うというか、しまいきれない良い人感が溢れるキャラばかりです。

個別ルートはとてもコンパクトにまとまっていると思います。唐突に温度が上がるイチャイチャタイムに、いち歴史モノに収まるのではなくあくまでも乙女ゲームであろうとする気概を感じました。

恋愛の正体見たれり枯れ尾花

タイムスリップものというのは得てして時限式のシナリオになるので、別れの気配が常にあります。ヒロインも心得ているので迷いが葛藤を生み物語のスパイスになるわけですが、それに伴い、「いつまでも一緒にいられない」ことを予感した攻略キャラたちのじめっとした不安感がこちらに伝わってくるのがなんだか新鮮でした。大人の対応をする人たちですら、隠しているであろう心の動きがじわ~っと滲んでくる。これも恋心の発露の一つだなあと感心します。

私は特にバッドエンドが好きということもないのですが、今作の2人が結ばれないエンディングはとても心に残っています。本当は明治時代に存在しない芽衣ちゃんがいない世界、つまり正しい世界で生きているはずの攻略キャラたちの孤独感、彼らの心に穴を開けてしまったことが手に取るようにわかります。恋だな、と思うのです。

 

特筆したいこと

vita版であるこちらしかプレイしていないので知らなかったのですが、移植するにあたって劇場版で登場した新キャラクターのルートが追加されていたそうです。

ちょっとそれが完璧過ぎました。

他のキャラのエピソードとグレードが違います。最初のリリースから約五年経っているそうなので、その間物語やキャラを何度も研磨されてきたのだと思います。そこに費やした時間だとか文章だとかのすべてが新規キャラのエピソードに注がれたわけですからグレードアップしていて当然かもしれませんが、それにしてもこんな仕上がる?ってくらい素晴らしくて感動してしまいました。

シナリオひとつひとつの特別感がすごいです。運命的な結びつきや芽衣ちゃんの振る舞いから、メインヒーロー並の待遇になっています。既存のキャラがこぞって良い仕事をする(サブキャラとしてシナリオを盛り上げる)のも、要因のひとつかと思います。

見事にキャラの関心を引き、相手に会いたい、会うのが楽しみだと思わせる力を保持しているヒロインと、ユーザーが会いたくなるような(しかけをされた)魅力ある攻略キャラ、そして流れの良い自然なシナリオ。超完璧な三角形です。運命的な要素もさりげないけれどインパクトがあって、非常に好ましく感じました。

乙女ゲームというのはある程度乙女に都合よく作られていますから、ヒロインがぼさっとしていても話は進むし好感を持たれることも多いし、強制的に二人きりにさせられたりハプニングがキッカケで近付いたりと勢いで突っ切ることも多くあります。

しかしこの追加ルートはお互い好感度ゼロのフラットな状態からスタートし、共通点も特にないので関わるには双方の努力が必要になります。そうした中で時間を共有し意見交換していく姿を見ていると、たしかに何か大切なものを積み重ねているような感覚を得られるのです。少しの運命と行動力。これが恋だろ、と思わずにはいられません。

恋心を「好き」という言葉以外でどう表現していくかというのは恋愛ものに関わる全ての人のテーマというか挑戦だと思いますが、このルートではそれを感じるシーンがたくさんあって幸福でした。

上記恋愛要素で書いたことも含めて、語らずとも「恋」を伝えられるのが、めいこいの一番のすごさだと感じています。

 

おわりに

物語と人物がうまいこと絡んでいるので、どこまで実際のエピソードを使用しているのだろうと興味本位で調べてみたところ、事実は小説よりも奇なりとは本当によく言ったもので、成果や作品はもちろんのこと、ちょっと詰め込みすぎじゃない?と言いたくもなるキャラの強さとドラマチックな生涯から、偉人になるべくしてなった人たちだと思い知らされました。フィクションが負けちゃう。

歴史物というのは人物に愛着を持つことができるので、より深く世界を知るキッカケになるのが良いところだと思っています。めいこいをキッカケに明治に興味を持った乙女はたくさんいるはずで、平安、戦国、幕末は言わずもがなですから他の時代もどうにか埋めていって頂けましたら、女子の歴史力がバーストするでしょう。世界史にもバンバン手を伸ばしてほしい。というかつきっきりで勉強教えてくれるソフトが出たらやばくないですか。めきめき学力が伸びてしまう。学力不要な私も「ふうどれどれ物は試しに」とか言いながらやるにちがいない。

色んな意味で

 

 

 

明治東亰恋伽 Full Moon - PS Vita

明治東亰恋伽 Full Moon - PS Vita

 

 是非真相ルートまでたどり着いた方が良い作品ですが、ケーキ6個はなかなかに大変な道のり。