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乙女ゲームマラソン Z

vitaのオトメゲーをセイハするブログ

11★乙女ゲームの裾野をグワッと広げる【Side Kicks!】

Side Kicks!  - PS Vita

車を入れた理由がよくわかります。

Side Kicks!/サイドキックス!

ジャンル

会話タイプ

 現代アメリカ×サスペンス×刑事ドラマ

時間 共通 約4時間 個別 約2時間 総プレイ 15時間ほど

二周目以降は共通20分ほど。

攻略人数 6人 制限 あり(4人クリアでひとり解放、更にクリアで解放)
ヒロイン

 イノリ (デフォルトネーム 変更可)

予知夢を見られる20歳。

特記 ネタバレされないことを祈っています。 公式HP(オトメイト

 

ものすごくライトに全力で楽しめる。

バーガーショップのシェイクが超うまいみたいな気安さと親しみやすさと発見の感動を味わって、でも実はすごくこだわったミルク使ってんだよ温度管理も徹底されてるし機械も最新式だしそりゃうめーわ、と本気の一品だったと気がつく。このシェイクは期間限定で終わるととても寂しいけれど、ここはそもそもレギュラーのバーガーが超うまいので今後も楽しみなんです的な作品。これ伝わる?

 

もう少し極端なことを言うと、ゲームを起動した瞬間に手を掴まれて引きずりこまれた感覚がありました。一瞬、本当に呆然としてしまった。お客を全力で楽しませようとする、驚かせようとするゲームなんだとすぐにわかります。

ユーザー側もライトに全力で他人にオススメできます。それは「乙女ゲームをやらない人にも」という意味で。新たな入り口になるような作品だと思っています。

 

  • サスペンス好きだよ
  • 海外ドラマ好きだよ
  • 助手席に乗りたい

という方には良いのでないかしらと思います特に最後。


以下、物語の内容には触れていませんが、仕掛けや仕組みなどネタバレを想起しやすい感想を書いている可能性がありますのでご注意ください。

 

ちなみにこんな感じでプレイしています。

zonna.hatenablog.com

 ★ストーリーについて

舞台や世界観はもちろんのこと、エピソードごとに挟まれる前回のおさらいやイントロだけのOPという演出、ところどころで聞き覚えのあるワードから海外ドラマを強く意識して作られていることがわかります。

海外ドラマを身近に感じられる時がきた

今作はアメリカのカルフォルニア州が舞台ですが、ざっと見たところそれ以外はすべて架空だと思います。 今作の拠点となるサクラダという場所はありません。

登場人物には名字、或いはファーストネームがなく、全員日本名です。これがなかなかの亜空間をつくりだしています。私は慣れるのに結構な時間がかかりましたが、あくまでもゲーム作品としてバランスをとっているのだと、それくらい世界観が「アメリカを演出できている」という証拠だと思います。

そんなわけで、ストーリーも同じく「海外ドラマ」と「アニメ作品の一話」の間をとったようなバランスの良いつくりです。事件をしっかりと描きながらも、テンポよく、尚且つ各キャラのルートの布石を打ってある。私が「何食おう?」とヨダレ垂らしながら「リトル・キララ」のメニューを選んでいる間、サイドキックスという名の盤面は既に私を囲う準備が万全だったわけです。ええ、そうでないと発売できないんですけど。

でも、これって本当にすごいことだと思うんです。こうしたチームものというのは信頼関係を築くために共通ルートに重きを置き、時間をかけなければいけないはずです。乙女ゲームにおいて共通ルートが長いのは基本的に不利だと感じていますが、テンポの良さと事件性のおかげで飽きません。ストーリー自体も、ワイワイするところは思いっきり楽しく、緊急時には鋭く素早く、メリハリが非常に効いています。文字を読ませるだけでなく目や耳から入る演出の力も大きく、あれよあれよと物語の中に吸い込まれていく。永久に見ていられると思えるほどです。完全に言い過ぎですけど、ここは言い過ぎたい。

 

★恋愛要素について

一般的には、恋愛に入る過程が早く感じる部類かもしれません。

アメリカの恋愛とアメリカ人らしからぬヒロイン

しかし私は亜空間のせいで「なぜここでいかない」ともどかしく感じる羽目になりました。洋画や海外ドラマでは男女がくっつくのがはえーのなんのって、目が合っただけでカップル成立ですから、全然行かないので「あ、乙女はフィーリングでGOなんて絶対言わないんでした」と考えを改めたくらいです。これが通常の乙女ゲームだったらふつうに楽しめるのですが、大人同士のアメリカ人(一応そういう設定のはず)が純情やってることに言い知れない違和感がすごく、土壌の違いがこんなところまで影響するのが新鮮な驚きでした。

なので乙女ゲームとしては恋愛が早く、海外ドラマとしては遅い。体操選手くらいバランス取りますね。しかし共通ルートでヒロインが加入した初日以降、時間が急激にスキップされた印象が強く、個別に入る頃には三ヶ月くらい経っているのではと推測できるので、既に仲が良い状態で始まっていると思えば別に早くもないのではないかなと思います。一週間くらいで恋人になる話なんてザラにありますから、問題は密度なんでしょうけども、やはりそこは事件が下敷きにある以上厳しいところかもしれません。

それはともかく少し気になったのは、特に恋愛面において、キャラが(主にヒロインであるイノリちゃんが)良くも悪くもリアリティのある話し方をする、ということです。会話が的を射ないと言うか、エンドレスする場面が何度もあります。そして「うまく言えないんだけど」とイノリちゃんが言うたび、「マジで言えてないな」と思いました。

これまでいろんなヒロインを見てきた中で、私が好きなタイプは意志が強く、思いやりのある子です。けれどそんな子ばかりではありません。甘ったれた考えで自己中気味になるヒロインや、性格のひん曲がった思い切ったヒロインもいます。でもそれはそれで良いんです。いろんなヒロインにいてほしい。

イノリちゃんは良い子なのですが珍しいくらい「言いたいことをハッキリ言わない」ヒロインです。作中で示されたわけではありませんが、すぐ謝る性質からも恐らく気が弱くおとなしめのヒロインなのだと思います。尻切れトンボになることも間々あり、まあまあの長さの持論を述べた後で「うまくいえない」「よくわからないんだけど」で結ばれると、「私の寿命削って何を聞かせてくれたんだお前」という気持ちになるのが三十路脳なのかもしれませんが、逆に言うとうまく言えないけど一生懸命話した、という印象になるのでそういうキャラ設計がされているのかもしれません。

 

★特筆したいこと

ずっと個人的なことを書いていますが、今までで一番個人的なことを書こうと思います。

この乙女ゲームマラソンを始めてから、私はぼんやりと「車内の立ち絵って難しい」のかなと思っていたんです。厳密に言うと立ち絵とは違いますが、車内での会話の際にキャラの姿を見ることができないかな、と。

助手席に座っているという体験

本当に度肝を抜かれました。

キャラが運転してくれます。話しながら時々こっちをちらっとするのが非常に「ぽい」。スチルに所蔵されないので立ち絵の扱いなのでしょうか。シーンとしては数回なのにわざわざつくるなんてすごい、と感激しました。いえ感激致しました。全員分ないのが残念ですが、どのスチルよりも気に入っています。

捜査に車は必須ですし、アメリカなら尚のこと。なのでそうしたシーンが挟まるだけでも、日常感や親近感が湧きまくります。

 

★おわりに

是非最後までやりきってほしいゲームです。期待以上のことに応えてくれる恐るべき作品に感服しました。私が犬だったら会社の前で腹出して寝てるレベルです。と言っておきながら、私は乙女ゲームに特別な期待をしていないため、どの作品もだいぶ期待の上をいっているんですけども。

その中でも、今後どんどん発展していきそうな勢いとパワーを感じる作品です。それでいて細かなフォローが地盤を固めている。HPひとつとっても、開発者の力の入れようとサービス精神がすごいのです。ゲーム中でいうとNOTESという辞書や資料を収める役割のものですら、とても楽しい工夫がなされています。かと思いきや幕引きはなかなかアッサリしていて、こちらに波紋を広げまくってスッと消える。タイトル画面の夜のダイナーが「ひとつの物語は終わったけれど日々は変わらず続いていく」ようで、ああーっと切なくなります。

そしてまた新たな物語が始まるのだ……

 

 

Side Kicks!  - PS Vita

Side Kicks! - PS Vita

 

 100%続編が出るその日を待つ。