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乙女ゲームマラソン Z

vitaのオトメゲーをセイハするブログ

5★悪魔がいることに慣れたらおしまい【ソラユメ】

ソラユメ

 PS2版のパッケージは青空でしたが、PSP版からは夕焼けに。

ソラユメ

ジャンル

会話タイプ(地の文0)

現代ファンタジー×悪魔その他/共通はコメディ強め

時間共通 約1時間 個別 約1.5~2時間 総プレイ 14時間ほど

「次の選択肢までスキップ」機能があるため、二周目以降の共通はあっという間

攻略人数 6人 制限 なし
ヒロイン

守永 皐月(デフォルトネーム 変更可)

高校2年生の骨董屋の娘

デフォ名でも音声なし
特記 おすすめの攻略順があるようです

公式HP(TAKUYO

 

古き良き恋愛ゲーム

総プレイ時間が14時間と、非常に短いです。

この短さの割に充実感があるのは、全体が会話のみで進むのでテンポが異常に良く、さくさくっと進められるのが原因だと思います。この会話のみのやりとりは、古き良き恋愛ゲームを思い出します。個別ルートへ入る分岐が、一見わからないのも古き良き恋愛ゲームを思い出します。そして全体的に、古き良き恋愛ゲームです。

というのも、発売日が2008年……なんと9年前にプレステ2から出たゲームです。

ホームページの雰囲気、音質、絵柄、おまけボイスのノリ、どれをとっても当時感がゴイスー。そもそも会社のHPからしてレトロ感があります。老舗です。

プレステ2と聞くだけで「古い」と頭に過ぎります。一番お世話になった機体だけに、「延々とゲームだけをしていても良かったあの頃」を思い出して思わず切キュン(切なくて、キュン)

つまり、そもそもその雰囲気が大丈夫だという方にしか受け入れられない作品だと思います。当時の評価がどれだけ良くても、その時の「新しさ」や「流行り」というものを多分に含んだ結果です。この約10年に技術はずっと進歩し、数多くの作品が生み出されたわけですから、見劣りする部分があって当然です。

そうした部分の見ないふりはできませんが、元々の作品の魅力に加え、今だから言える良いこともありましたので書いて参ります。

 

  • ふるさには耐久あるよ、むしろ昔のノリが好きだよ
  • コミカルで会話の楽しいゲームをやりたいよ
  • 花とゆめコミックスが好きだよ(ものすごく勝手なイメージ)

という方には良いのでないかしらと思います。

 

以下、物語の内容には触れていませんが、仕掛けや仕組みなどネタバレを含んだ感想を書いていますのでご注意ください。

 

ちなみにこんな感じでプレイしています。 

zonna.hatenablog.com

 

★ストーリーについて

ヒロインの後頭部をスリッパで思い切り叩きたくなる瞬間というのが、どの乙女ゲームにも存在すると思います。「皐月ちゃん、しっかりして!」という思いを込めて、後半は心にスリッパを構えながらプレイすることになりました。

「もどかしさ」に優れている

最近の作品にはもどかしさが少ないと感じます。私がクソガキの頃に触れた作品の多くは、もどかしさでもって読者を引っ張り続けていました。引っ張りすぎて苦情もあったと思います。それが飽きられたのか時代に合わないのか、近年は悪即斬的に障壁をバンバン打ち破る気持ちよさのようなものが受け入れられている傾向にあると思います。

さて、ソラユメは大真面目なストーリーラインにも関わらず、非常にコミカルなノリでおっ始まります。学校生活を愉快な仲間と呑気に過ごし、異質の原因である悪魔もろもろとも仲良くごはんを食べるので、段々とそれが日常となり、何も不思議に思わなくなった頃に個別ルートへ入ることになります。

突然誰もボケなくなり、笑いはなくなり、意味不明なことを言い出すので、超展開に頭がついていかず、「ごめん、なんて?」と皐月ちゃんもといユーザーである私も同じ疑問を抱きまくります。前半の楽しさからの落差と、そこからのひっぱりがエグい。

これどういう状況?という中に置き去りにされ、解決策もよくわからず、そもそも話がわからず、つまりどうすれば良いかサッパリわからぬままテキストを読み続ける。完全会話型なので、ダイレクトに皐月ちゃんの不安や嘆きを読まされるのも結構しんどい。

悪魔と生活しておいてなんだけど、非現実的な感覚がすごくて早く元に戻って欲しいと願うことになります(戻ったところで悪魔はいるけど?)その時点で物語の引力にやられているということなのですが、さすがに攻略キャラが6人もいると、こちらも次第と慣れてくるわけです。

そして冒頭に戻りますが、最初は皐月ちゃんと一緒にオロオロしていた私も、後半ともなると大体の事情は理解できますし、解決策も読めてしまっています。なのでオタついている皐月ちゃんの後頭部を叩きたいんです。

前半はストーリーを早く解決してほしいというもどかしさ、後半は戸惑いから動けずにいる皐月ちゃんへのもどかしさ。一貫して「どう決着つけるのだろう」と楽しみだったのは変わりませんでした。

 

★恋愛要素について

同級生っていいな?

共通ルートにおいて、同級生ふたりとのやり取りが強く印象に残っています。恋になる前の過程である、友達として仲良くしていく中で好きが育っていく雰囲気、みたいなものが感じられました。上下関係が無いので心を開きやすいのが大きいです。

乙女ゲームを数本やって気がつきましたが、共通ルートで「好きの芽が出る」ことって多くないんです。友情や絆や人として大切に思う描写はどのゲームにもあるのですが、「なんか気になる」といった反応のあるゲームは貴重です。「気にかけてくれる」キャラはたくさんいるのですが、「気になってるなー」とユーザーに気付かせてくれるキャラは希少です。すごく些細で何気ない行動が目についてくる、これぞ恋。これぞ乙女ゲーム

他の4人は状況が状況というか、ホラー要素が強かったり、不穏な空気がすごかったり、隠し事をされていたりと恋愛どころじゃない感が否めません。しかし、後述しますがこの作品は会話感がとても良いので、キャラを好きになることができればとても楽しいと思います。

 

★特筆したいこと

私は地の文0の作品が好きです。

0といっても本当はまったくの0ではなく、描写する必要のある行動部分の大半はヒロインの心の声で補われています。しかし心の声の域を出ないので、長いアクションは書けません。また基本的には会話だけなので、何をやっているのかわからないことがあるかもしれませんが、そこを想像することが楽しさにつながることも多いです。

とにかく楽しいやりとり

地の文0だと表現の制約はかかりますが、その分とんでもなくテンポの良いテキストに仕上がります。あまりにも良いので、読み飛ばしそうになるくらいです。会話でストーリーを進めるためには掛け合いが必要となり、キャラが何度も喋ることにつながるので、人となりや話し方の癖がわかるのもすごく良いところ。

ソラユメではごはんを食べるシーンが多く出てきますが、このテンポを維持していなければかなりくどくなっていたと思います。現状ですら、どんだけごはん作るんだよおおおおおとなりました。

その分、会話の内容が重要になってきますが、面白みのあるものが多くて楽しかったです。ひいては日常の演出が上手と言えるのだと思います。もしかするとごはんのシーンこそが、日常のメタファーだったのかもしれません。

 

 

★おわりに

つまり個別ルートで感じた戸惑いは、そもそも非日常のことが起きているのに、あまりにも日常をうまく送らせてくれたものだから、その後の非日常に心が追いつかなかった、ということだったに違いありません。たとえ、ヒロインにまつわる重要と思われる部分の説明が若干省かれているような気がしなくもないけれど、そんなことは瑣末な問題。

皐月ちゃんのつくったチャーハンを「ベチャベチャしてうまい」と言ったり、カバの赤ちゃんに釘付けになる大の男、くらげのクーラなる驚愕の生き物など、各ルートで非常に惹かれるシーンに出逢いました。そっちの方が大切だ。何しろ、こういうものの方が記憶に残る。こういった感性に、古いも新しいもない。

 

そして書こうかどうしようか最後まで迷ったタイトルのこと。

この言葉の意味を思うと切なさがぐっと増します。しかし彼が幸せな結末を願うから、私もそれを願って終わりにする。

それらしいことを言って

 

 

 

ソラユメ

ソラユメ

 

 ただ、オマケのドラマのノリは間違いなく古かったし、まさかのパッケージ(モノホン)画像。