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乙女ゲームマラソン Z

vitaのオトメゲーをセイハするブログ

4★真なる乙女のための乙女ゲーム【ゆのはなSpRING!】

ゆのはなSpRING! - PS Vita

パッケージからパステルパンチを堪能する。

ゆのはなSpRING!/ゆのはなスプリング!

ジャンル

会話タイプ(地の文少なめ)

 現代×ほのぼの旅館ドラマ

時間共通 約4.5時間 個別 約1.5時間 総プレイ 17時間ほど

二周目以降は共通1時間。EDが2つあるので「チャプタージャンプ」を使って20分くらい。

それを上手に使えば、総プレイ時間をもっと短縮できると思います。

攻略人数 4人 制限 なし
ヒロイン

三條 ゆのは(デフォルトネーム 変更可)

福寿楼の若女将/デザイナーを目指している20歳。

特記 スチルがきれいです。 公式HP(オトメイト

 

明るくて、爽やかで、コミカルがぎゅっと詰まってる

多めにとって17時間だったので、実際にはもっと早くクリアできるかもしれません。

4人というのは少なめですが、その分共通ルートから全員にしっかりとスポットが当たるようなつくりになっています。同じエピソードでもキャラによって解決方法が異なるため、短時間の割に充実感がありました。

恐らく乙女ゲームに於いてはストーリーの展開や面白さよりも、攻略キャラとどれだけ一緒に過ごしたか、やりとりを交わしたか、その時間のほうが大切なのだと思います。もちろんそれがダラダラと無意味なものになってしまってはいけませんが。個別ルートは1~1.5時間と短め。共通でしっかり仲良くなっているので、そこから長々続かないのは好感が持てます。

このゲームはの要素が強いです。私を含めて闇属性の方は浄化されないように気をつけないといけません。

 

  • 人が死ぬのはもうたくさんだ
  • ほのぼのしたゲームがやりたい
  • 刺さりまくった棘や毒気を抜いて欲しい

という方は良いのではないかしらと思います。

 

以下、物語の内容には触れていませんが、仕掛けや仕組みなどネタバレを含んだ感想を書いていますのでご注意ください。

 

ちなみにこんな感じでプレイしています。

zonna.hatenablog.com

 

★ストーリーについて

バラエティ豊かなお客様をおもてなし

老舗の旅館、福寿楼を舞台に一話完結型のドラマを楽しめます。若女将として切り盛りしたり、お客様の抱えていることの解決をお手伝いしたり、従業員とドタバタする。次はどんなお客様かなあ、とわくわくします。

 

★恋愛要素について

共通ルートでじっくりと関係を持つことによって、無理なくお互いに惹かれていく過程が描かれています。困った時に助けてくれるから好意を抱くのではなく、旅館での日々を繰り返すことで自然と心を通い合わせている感じが伝わります。また、努力する姿をお互い常に目にしているのが大きいと思います。

恋物語だけで終わらない生き方

ゆのはちゃんは、個人としてより若女将として過ごす時間が多いので、大切な決断や皆への指示を出す立場にあります。この上司感は他のゲームにはなかなかありません。幼馴染のキャラですらリスペクトしてくるこの感じ。デキる女の感じ。お仕事モノの良いところ。

ただ、そのせいなのか乙女ゲームの主人公としては随分と気が強いです。従業員を引っ張っていく立場なので、その前向きさや芯の強さ、一本義のあるところはとてもかっこいい。攻略キャラもそういう部分に惹かれていくことになるのでしょう。

その強さが、恋愛面では子供っぽさに転じてしまうシーンが多々あります。カワイクない態度になってしまうこともあり、きちんと話し合えば解決するようなことを、いらぬ誤解を招いたり数日に渡って引き伸ばすのもお手の物。ゆのはちゃんが初恋じゃなかったらケツ蹴り飛ばしてるところだったけど、自分の夢に向かって努力を怠らず、自制し、切り開いていく姿が素敵だったから、ものすごい上から目線だけど許す……。

彼との幸せな未来がゴールではなく、自分はどう生きていくのかというところにも光を当ててているのが、まさに現代の乙女ゲームだわと印象的でした。

 

 ★特筆したいこと

一人目を攻略したあと、一度ゲームを寝かせました。直感的に、このゲームのターゲット層が20歳以下に感じたというのが大きな理由です。

大きなピンチがなく、強い悪意もなく、 嵐のような恋もなく、殺人事件の舞台になったりもしない。とにかく平和な温泉街。人の興味を刺激する要素が希薄で、先が気になるような凝った仕掛けもない。人によってはこれを退屈と言うのだと思います。

そして数本のゲームをプレイした後、ゲームを再開して、なんだか妙な感覚を得ました。コンプのために淡々と物語を進めていたはずが、気がつけばとても穏やかな気持ちになっている。心が洗われるというか、毒気をすっかり抜かれたというか、つまりずばり、なぜか私は癒やされていたのです

 

ひとつめは選択肢の意義と、それによって分岐するルートの細かさです。

乙女ゲームにおける選択肢とは、攻略キャラの好感度をあげるためのものばかりです。自然と回答には正誤が生まれるため、好感度の上がらない選択肢を選ぶ必要はあまりありません。また、どちらを選ぼうがその後の展開に変化がない場合が殆どです。

ところが、ゆのはなは変わりまくります。二周目に、選択肢ひとつで展開がゴロッと変わったのを見た時は驚きました。

結局のところ、言ってしまえば誰と過ごすのかを選ぶだけなのですが、選ばせ方が秀逸です。男の子目当てで行動するというよりは、若女将として判断した先で攻略キャラが手を貸してくれるので、ひとりひとりが型にはめられることなく自然体で動いているように見えます。

それ故、誰と過ごせるのかわからない選択肢も多々ありますが、正誤を気にするだけのものや選ぶ意味のない選択肢は昔から違和感が強かったので、とても嬉しいし新鮮でした。更に、選んだ結果によってテキストが増えることがあるので、周回するごとに「おおー、変わったー、増えたー」と発見があってやればやるほど面白い、という感覚が生まれていたように思います。

 

ふたつめの理由は、福寿楼の皆がとにかく優しいということです。

人間味のある温かさを誰もが持っていて、仕事の合間に気がついたら声をかけてくれる。困ったときは全員で考え、一緒にまかないを食べて、朝のミーティング前に噂話をしていたりする。時には厳しいことも言われるけれど、自分を思いやってのことだとしっかりわかる。そんな毎日が続いていく。

こんなところで働けたら楽しそうだなあ、とついつい思ってしまう空気感がそこにはあり、そこの一員のように脳が錯覚して、私の心を癒やしたのではと想像します。森林療法的な。

 

★終わりに

実はゆのはなSpRINGにはもう一点優れているところがあって、何気なさ過ぎてスルーされがちな気がしますが、テキストにセンスを感じています。なにか優れた一文があるわけではありません。

メインは会話で構成し、行動部分に地の文を使用しているのですが、そもそもこのスタイルが一番ゲームとして読みやすいのがひとつ、地の文をごくごく最小限に絞っているところがひとつ、それなのに空気感や動きが伝わってくる表現、しかしライターさんの癖を感じないところにひとつ、縦書きなのに読みづらさを感じさせにくい工夫にひとつ……と、気がついた時にはぎょっとしました。

これではまるで、福寿楼のおもてなしと同じでねーか。

刺激的なことや派手なことは何ひとつないけれど、小さなことをひとつひとつ丁寧にやって、なんか居心地良いんだよなあ、と思わせてくれるそんなゲームになっている。

 

私の第二の故郷が金沢になるのであった。

 

 

ゆのはなSpRING! - PS Vita

ゆのはなSpRING! - PS Vita

 

 

後半の死線を乗り越えたら必ず福寿楼へ行くと誓う……