読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

乙女ゲームマラソン Z

vitaのオトメゲーをセイハするブログ

3★触れられなくても構わない、どちらにせよ触れるから【Code:Realize~創世の姫君~】

Code:Realize ~創世の姫君~ - PS Vita

英断と言わざるをえないパッケージ。

Code:Realize/コードリアライズ/コドリア

ジャンル

小説タイプ

19世紀ロンドン×スチームパンク

時間共通 約5.5時間 個別 約3時間 総プレイ 25時間ほど

二周目以降は「創世の軌跡」から共通を飛ばして個別ルートに入れます。

その際は総プレイ時間が21時間くらいになると思います。

攻略人数  5人 制限  あり (4人攻略後、1人解放)
ヒロイン

カルディア(デフォルトネーム 変更可)

猛毒を全身に宿しているため、他者に触れることができず、怪物と恐れられている少女。

特記 スチルや音楽がきれいです。 公式HPオトメイト

 

圧倒的世界観の構築と徹底したヒロインの物語

総プレイ時間の25時間は長めです。飛ばせば21時間ですが、その分キャラの人となりを知る機会が奪われるという意味でもあります。 

乙女ゲームにおいて共通ルートが長いことのメリットは、ユーザーが世界観をある程度正しく理解できる、キャラクター同士の掛け合いを多く見ることができ、仲間としての絆が深まるというところにあると思います。

デメリットは恋愛が遅いので、主目的でご来場のユーザーにはしんどいです。共通ルートに於いては恋の芽が出ることもないので、ただひたすらに彼らの物語を見ていることができるかが肝心なポイントになります。

コードリアライズはファッションとしてのスチームパンクではなく、”もしも科学”を成り立たせる知識と考察を骨組みに機鋼都市ロンドンを構築したかと思うと、他作品から拝借した個性豊かなキャラを乗せてネオスチームエンジンで走らせたことで圧倒的な世界観を獲得しました。

架空と架空のコラボで新たな架空を作り出す。どうなることやらと思ったけれど、ロンドンでオールスターズがひしめき合う様はそれだけで圧巻。元ネタを知っていれば「むむ、さては」と思えるのが嬉しい。だからこそ考察のし甲斐のある作品であると同時に、「ただの乙女ゲーム」としてプレイした時に物足りなく感じた部分があるので後述します。

 

  • 仲間がわちゃわちゃしてるのが好きだよ
  • 長いことは覚悟しています
  • 冒険活劇見たいです

という方は良いのではないかしらと思います。

 

以下、物語の内容には触れていませんが、仕掛けや仕組みなどネタバレを含んだ感想を書いていますのでご注意ください。

 

ちなみにこんな感じでプレイしています。

zonna.hatenablog.com

 ★ストーリーについて

共通が無駄に長いということではなく、色々なエピソードがぎっしり詰まっているのがコードリアライズの特徴です。全員揃った時点でさっさと個別に分岐するのではなく、しっかりと全員で行動し、更にそれぞれのエピソードが挟まって展開するやり方、そしてクオリティの高さはまるでアニメの一話を見ているようです。

大きな物語と怒涛のピンチ

毎回必ずと言って良いほど窮地に立たされ、機転を利かせてみんなで切り抜ける。絆を深めると同時に、各々の心に少しずつ触れていく展開です。

共通が長いからといって個別が短いということもなく、しっかりと時間をとってキャラクターにスポットを当てています。ものすごく丁寧。というか、丁寧過ぎるという印象さえあります。故に長い。攻略キャラへの視点変更やサブキャラへの手厚いフォローが原因かと思います。国ひとつ使った大きな物語の中で、ひとりひとりのキャラクターを大切にしているのがよくわかります。

 

★恋愛要素について

前述の通り、私が物足りなく感じたのはヒロインであるカルディアちゃんに対する攻略キャラたちの「感情の動き」「行動の変化」です。

彼らは全員、ヒロインに対してすごく優しく、丁寧に接してくれています。それこそ最初から最後まで一貫して好意的。仲間として親愛の情が芽生えているのは充分理解できますが、それ以上の心の動きが殆ど感じられません。なので恋愛をしている感覚が非常に薄かったです。

攻略キャラはヒロインを怪物だと思っていない

彼女の怪物たる所以である「他者に触れることができない」という特質に対し、彼らは(各々の事情があるにせよ)恐怖や偏見を抱くことなく受け入れます。そもそもがものすごく懐が深くて、大人で、冷静な人たちということです。

出会った時点で己の罪としっかり向き合い、背負っているものがありますから、他者に対してスーパー寛容です。心が広いのです。なのでタイトルにもつけましたが、「触れられないことがもどかしく、つらい」ということにはならず、なんだったら最初から「手溶けても良いよ別に」くらいに思ってる感じがすごい。そうは言っていないけれど、それほどなんでもないこととして扱っている。もちろん、カルディアに対する気遣いが多分に含まれているでしょうが。 

また、恋愛要素が少ない原因は彼女自身にもあると思います。カルディアちゃんは殆ど赤ちゃんみたいなものなので、自称かと思っていましたけど彼らはきちんと紳士なのでしょう。きっとすごく手加減してくれてるのだと思います。そう考えたらちょっと良い気分になってきましたきませんか?

だから恋愛感が薄くても、やきもきしちゃいけません。ユーザーだって心を広く、大らかにふたりを見守るべきです。恋愛はすべてが終わってからだって良いじゃないか。

 

★特筆したいこと

London Bridge Is Falling Down

プロローグでキャラのひとりが「ロンドン橋落ちた」を口ずさむシーンがあります。初めて聴いた時は頭から離れなくて、何度か巻き戻して聴いてしまいました。

ロンドン橋落ちた(London Bridge Is Falling Down)は、18世紀からある古い童謡で、木や煉瓦や鉄でつくるけれど、そのたびに橋は落ちるよマイフェアレディという曲です。(ググったら怖い話が聞けました。そんなつもりじゃなかったのに)

災害や争いによって橋は壊されてしまう、しかしその度に橋は強くなってまたかけられる。なんだか作中でのイギリス女王やあの人の言葉が思い出されますし、唐突に現れるマイフェアレディなどは(怖い話を参考にすると)カルディアの宿命を彷彿させます。

橋というものがそもそも国と国、あちらとこちら、あなたと私をつなぐもの的なメタファーじみているアイテムなので、いくらでも勘ぐれるのが楽しい。なくても良い場所にわざわざそれを入れる意図というか、制作者のこだわりや遊びを感じられる瞬間が好きです。「芸が細かい、あと歌がうまい」と唸りました。

他にも鼻歌を披露してくれるキャラがいますが、これがすごく良いのです。文字ばかり読んでいる中で刺激になるし、何よりキャラクターが立ちます。独り言は違和感があるけれど、鼻歌ってとても自然だし素の部分が出るような気がしました。

 

★おわりに

カルディアちゃんという子は、乙女ゲームの中ではトップクラスの過酷な運命を背負わされたヒロインで、にも関わらず素直で努力家で心の優しい可愛い女の子です。能力が高いので戦うし、すぐ人を守ろうとするので敵から痛い目に遭わされることも多い。その姿がとても痛々しく感じました。無知と必死さはいじましく、純粋さは人の心を打つ。怪物だった彼女が人として生きた時、すべてが初めてで真剣で、一生懸命なのだから痛みを伴うのは仕方がない、それが生きるってことだよなと思わされました。

そんなカルディアちゃんがユーザーのために良い仕事をしているので、恋愛成分はクリア後に見られるおまけシナリオでちょっぴり補えるのではと。このシナリオを読むと、もっとヌケ作っぷりを活かした展開が本編でも生まれたんじゃないかと思わずにいられません。やはり大きな話を扱うと、恋愛が小さめになるのは仕方ないのかなあ。

つまりFDに期待が高まるパ

 

 

 

 しつこいけどすごく良いパッケージ。

~Code:Realize ~~祝福の未来~~  - PS Vita~
 

FDは後日やる予定。花冠をしているところがニクいです。