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乙女ゲームマラソン Z

vitaのオトメゲーをセイハするブログ

1★乙女ゲームでミステリーをやるのが既にミステリー【7'sCarlet】

7'scarlet - PS Vita

こわくて不思議でちょっと悲しい。

7'sCarlet/セブンスカーレット/セブスカ

ジャンル

小説タイプ

 現代×ミステリー

時間 共通 約2時間 個別 約1.5時間 総プレイ 13時間ほど

二周目以降の共通ルートは20分くらいです。早い。

攻略人数  5人 制限

ルート制限あり(最初は二人しか選べない)

真相エンドあり

ヒロイン

花蒔 イチコ (デフォルトネーム 変更可)

女子大生/行方不明となった兄を探して奥音里へ行く。

特記 HPには若干ネタバレがあるのでご注意。 公式HP(オトメイト

 

ゆっくりと加速する物語

総プレイ時間が13時間というのは、今のところいちばん短いゲームです。

この短さは端的に物語全体を捉えることができる反面、攻略キャラ達との関係性にダイレクトに影響していると思います。基本的に付き合いが長いほど、情が湧くのが人間ですので。短ければ短いほど、ユーザーの中でキャラに対する好意が育っていない可能性が高いです。

また後半にかけて真相が暴かれていくタイプの物語なので、前半のお話は理解が追いつかず困惑したり、突然の展開にポカンとしたり、これ大丈夫かな……? と、不信感でやめたくなったりするかもしれません。

私は真相END間際から「これぞ乙女ゲームの妙だな」という経験をさせてもらったのでこのゲームに好意を持っていますが、「面白かった?」と聞かれたら黙り込みます。

OPに始まって、雰囲気たっぷりな背景や音楽、遠慮なくこちらをビビらせてくる演出などなど、ストーリー以外の部分では感動させられるところが数多くあり、変な話ですがだからこそ期待感が高まってしまいストーリーに唖然とする、ということも無きにしもあらず的な思いが芽生えます。

特に大好きなのがタイトルコール。

信じられないくらい気に入ってしまい、タイトルに戻る度に耳を澄ませて聞いていました。こうしたセンスに出会えるのがたまらなく嬉しいです。

 

  • 恋愛面はうすしおでも良いよ
  • ちょっとキツめの暴力的な描写も耐えられるよ
  • 新しいことやってる乙女ゲーが見たいよ

という方は良いのではないかしらと思います。

 

以下、物語の内容には触れていませんが、仕掛けや仕組みなどネタバレを含んだ感想を書いていますのでご注意ください。

 

ちなみにこんな感じでプレイしています。

zonna.hatenablog.com

★ストーリーについて

私は事前情報ゼロでスタートしたので、物語の途中あたりから「なんかミステリーみたいになった」と思いきや、クリア後それがウリだったことに超絶驚きました。

ものすごくのほほんと「こわい系の話なのかなあ。と言っても乙女ゲーだし大丈夫だろう」などと思いながら深夜に進めたものですから、迫りくる脅威に「ひいいい」と乙女らしく震えること数日。

あちらも気合い入れて驚かしにかかってくるので、ウキウキした気持ちでやると挫かれるかもしれません。ただし本格ミステリーに挑む気持ちで来てはならないと思います。それは探偵の仕事であって、乙女の出る幕ではない。乙女探偵だというのなら、仕方ありませんが……。

乙女ゲームとかミステリーとか括らないで見てみる 

トーリー全体の流れでいうと、ルート制限が解放される以前と解放後のシナリオに差が有ると感じました。前半はとにかく混乱必至のシナリオ展開です。

現在の状況がとても異質であり、それを引き起こしている何者かの本気をユーザーに示すため、前半に敢えてインパクトのある展開を置いたのかもしれません。まさかそう来るとは、と膝を打つことができれば良かったのですが、心の何処かで恋愛をしにきている自分の来るべき場所ではなかったと後悔の波が押し寄せてくることしきり。

とはいえその波を乗りこなしつつ、真相END、そしてその後のルートを見て思うことは、これは乙女ゲームなのかそれともミステリーなのかなどと括りにこだわらずに、ひとつの物語として向き合った時にとても楽しめるお話だったということです。

前半のナニコレ感が、後半じわりじわりとほぐされていくのは気持ちが良かった。

ああ、ただのわけのわからない滅茶苦茶なだけの作品じゃなくて本当に良かった。13時間を無駄にするところだった。だからこそ叶うならば、本当に失礼なことだと思うけど、該当のキャラのためにも、そのキャラを目当てに買う人のためにも、本当に前半のルートはどうにかしてあげてほしい。本当にって三回も言いました。この気持ちは本当です。

 

★恋愛要素について

あくまでもミステリーをやろうということですから、ユーザーに疑念を植え付けようとしている時点で、恋愛面がだいぶ犠牲になったような気がします。

私がまんまと引っかかる人間なので、そういう者から言わせてもらうと、この作品は演出が素晴らしいのでふつうに「はあああう!!!」となります(まんまと引っかかるタイプのボリュームであり、平均的ではありません)

その状況を救いにきてくれるマル対に好意を抱かないわけがないのですが、また逆に「まさかこいつが私をびびらせたんじゃ……?」と疑いを向けざるを得ないジレンマ。

強いクセがクセになる時がくる、かも

そうしたこの作品特有の感情を抜きにしても、欠点と言える要素があるのでなかなか厳しい恋愛だったと思いますし、なぜか恋愛描写となると表現が突然おかしくなる地の文のおかげで冷静にふたりを見守ることができました。

欠点と言える要素というのは物語に深く関わるので伏せますが、代わりに表現がおかしくなるということについては少し突っつこうと思います。

ライターさんの癖なのか、そういう狙いがあったのかはわかりませんが、恋愛描写を詳細に表現しようとして、やや陳腐で無粋でワンパターンな展開が繰り広げられる様を何度か見ました。ひとつ具体的に言うと、やたらと攻略キャラの匂いを嗅ぐ羽目になります。嗅ぎたくないわけじゃないけど、嗅ぎたいわけでもないんだなあ。

男の子の匂いを嗅ぐイチコちゃん、どこからともなく柑橘系の匂いを放つ男子、またなのかイチコ、と見詰める私のトライアングル。

とはいえ、印象に残ったシーン、良いエンディングだなあと感じたルートがあり、また折り悪くバッドエンドに入ってしまったキャラがいたのですが、見れて良かったと思っていますから、鼻孔をくすぐられることくらいはなんてことないのです。

 

★特筆したいこと

雰囲気を出すことのすごさ

キャラクターが一瞬しか出てこない実写のOP、映像で始まるプロローグなどには期待感が煽られまくりました。その後の変化していく箇所もサプライズに溢れていて楽しかった。

上でも書きましたが、最初は不気味でビクッとなったタイトルコールがだんだんと癖になって、ひとりクリアごとにタイトルへ戻るのがわくわくするという謎の楽しみを見出し、結果最後まで心に残った「セブンスカーレッ

音楽も雰囲気があって、ここまでタイトル画面で私を楽しませてくれたゲームは過去なかったです。こういうことがひとつあるだけで、心の底から「やってよかった!例え13時間かかったとしても!」と思うのです。決して、多数派の意見ではないと思いますが。

そしてもうひとつこの作品には重要な点があります。

以下、ネタバレに関わる発言。

 

 

 

 

 

 

それは隠しルートが解放された時のこと。

ハナテ初登場に、私は「っちょえいい!」となりました。

(「ちょっと待って、え? イケメンでてきたけどいいの?」の略)

 

★おわりに

クリア時は「良くも悪くもあってなんか惜しい」と中学生のようなことを思ったのですが、その後色んな乙女ゲームをプレイして気づいたことがあります。

  • 記憶に残らないヒロインがいる中で、鼻孔をくすぐられまくるイチコちゃんは最早個性(悪いところが面白さに転じた)
  • まとまってはいるけれど物足りなく感じていた部分は、必要以上に長いストーリーや金太郎飴と比べるとずっと良かった
  • サブキャラが役割を正しく全うしている
  • ハナテの物語として見た時に、完成している など

他と比べて良いところが浮かんできたというよりは、普段からきちんとやっている子はあまり褒められないに近い感覚だと思います。目立って良いところや新しいところは評価されやすく、水準を満たしているところは特に言われず、悪いところも目につくので言われてしまう。だから良くも悪くもある、という感想になったかなと今では思います。水準を満たしている部分にスポットを当てると、良い思い出が蘇ってくる作品でした。

 

このような思考の変換がスムーズに行えたのは、実はハナテのおかげだと思っています。ごちゃごちゃ言っていますが、結局乙女ゲームの醍醐味っていうのは、自分好みのキャラが出てきた瞬間に「サイコーでした」とすべての感想を翻したって構わないと思えるほどのパワーがあるところ、という話です。

自分でもどうかな?と思いますが、これはとてつもなく得難いこと。ひとりでも好きなキャラができたら、その作品は誰かにとって一気に特別なものに変わるわけです。

今回の私の場合でいうならハナテがそうでした。何度もハテナと読みましたが、ブログにこうして書くことでなんとか克服できそうでまだできません。

キャラやストーリーも良いですが、朗読のように進んでいくお話を、とうとう音声を飛ばすことなく聞き入ってしまうという初めての体験もありました。ぐっと惹き込まれてしまったという。

このために乙女ゲームをやっていると再認識、私の目的は果たされました

 

 

 

7'scarlet - PS Vita

7'scarlet - PS Vita

 

 倉花千夏先生の絵は不穏な空気と相性が良い。